34冊目、
読了。
毎日,自分の目標に向かって生きていますか?
今していることは本当にやりたいことですか?
大切な人を理解して,自分の思いを伝えていますか?
あなたは,明日,死ぬと言われて後悔のない人生だったと言えますか?
主人公はごく普通の郵便配達員の若者.
末期の脳腫瘍のため,余命は長くて半年,ともすれば一週間すら怪しい状態と
医師に宣告される.
ショックのあまり,日常の瑣末な後悔が頭のなかに浮かぶ中,
目の前に自分の姿をした悪魔が現れ,衝撃の未来と,それを回避する取引について
伝えられる.
「明日あなたは死にます」
ただし,死を回避する方法が一つあり,それは,
「この世界からひとつだけ何かを消す.その代わりに,あなたは一日の命を得ることができる」
明日に死が迫る中で,世の中にはいらないもなんて整理すれば数多くあると考え,
主人公は生きるため悪魔と取引をする選択をすることを決心.
しかし,消すものは自分で選ぶことはできず,悪魔が気ままに選択する.
承諾すれば余命が一日伸び,拒否すれば明日死ぬ.
消す前に最後に一度だけそのモノを使っても良いと悪魔は言う.
電話,映画,時計...
主人公は命と引き換えに世界からモノを消すことを承諾していく.
悪魔の提案する消すモノは,残酷なことに主人公にとって人生を形成してきたかけがえのないものばかり.
主人公はモノを消すことをきっかけに,3つのタイミングで記憶の中に埋もれ忘れかけていた自分の人生にとって
本当に大切なことに向かい合うことになる.
1,消す前.このモノを消すと誰に影響があるのか精一杯想像するとき.
2,最後に一度モノを使う直前.モノにつながりのある人々に思いを巡らすとき.
3,消した後,そのモノがなくなった後に,喪失によって新たな気づきを得た時
主人公は,明日死ぬという追い込まれた状態,さらには人生のキーとなってきたモノを消していく状況で思いをめぐらし,
大切な人々の思いや,かけがえのないこと,自分の本当にやりたいことに気づき、生きる意味を知っていく.
終わりを思い描いて日々を一生懸命生き,大切な人に向かい合って理解する大切さを気づかせてくれる感動の
物語でした.