歯の話

舌苔の正しい対処法〜舌ブラシだけではない舌苔を取る・防ぐ方法

舌苔(ぜったい)は、舌の表面の白い苔のようなもの。

その正体は、くちの中の菌の塊、粘膜のはがれ落ちたもの、食べかすなどの集まりです。

舌の表面は、一見、つるっとしているようですが、
舌乳頭という構造があって、かなりでこぼこしています。

そのでこぼこを広げてみると、、、なんとテニスコート半分ほどになります!


(ちょうど写真に写っているのがコート半分!超広い!)

そこに色々なものがはまり込みたまったもの・増えたものが、舌苔です。

舌苔は、口臭の原因になったり、見た目が悪かったりするだけでなく、味覚異常の原因にもなえりえるため、できるだけ少なく保ちたいものです。

「舌にたまった汚れであれば、歯と同じようにみがけばとれるのでは?」
「舌をみがく『舌ブラシ』というのがあるじゃない!」
という声が聞こえてきそうですが、実はそう簡単ではありません。

舌の表面は、歯と違って柔らかいじゅうたんのようなもの。

ハミガキがきのようにブラシでゴシゴシしてもなかなか汚れをとれないだけでなく、舌の表面を傷つけてしまいます。

舌ブラシは、奥から手前になでるように使いますが、えづいてしまって、奥の方までなかなか入れられません。

そして、舌ブラシで1回や2回掃除したくらいでは、舌苔は減りません。

そのため、舌ブラシは扱いが難しく、使う場合も根気強さが必要になります。

今回は、舌ブラシ以外の正しい対応についてご説明します。

舌苔の原因からの対応、増やしてしまわないためには、効果的な裏技などについてお話しましょう。

 

コンテンツ

【舌苔の原因から対応する】

舌苔の正体はくちの中の菌の塊、粘膜のはがれおちたもの、食べかすなどであります。

この中で、粘膜が新陳代謝で剥がれゆくのはとめられないため、対応しようがありませんのでパス。

くちの中の菌への対応を考えましょう。

くちの中の菌の主なすみかは、歯と歯ぐき付近です。

歯の表面と歯ぐきのきわにたまったプラーク・菌の塊をへらしてやることが、舌苔を増やさないコツになります。

これらについては、ハミガキで対応します。

歯磨きをする女の子のイラスト

食べかすについても、毎食後、しっかりうがいをするとともに、歯にはさまったものはハミガキで取り除きます。

歯と歯ぐき付近の菌の量を減らすことは、むし歯や歯周病の予防となるだけでなく、それらの菌が舌に降り積もって舌苔になってしまうことを防ぐことにつながります。

 

【舌苔を増やしてしまわないために】

舌を含め、くちの中の菌が増えないようにするためには、
「鼻呼吸」を徹底するというのがよい方法です。

「口呼吸」は、くちの中が乾燥します。

乾燥してしまうと、唾液の洗浄・抗菌作用が十分に働かなくなります。

乾燥で口臭もきつくなりますし、のどにもよくありません。かぜを引きやすくもなります。

ぜひ鼻呼吸にチャレンジしてみてください。

 

【舌苔に効果的な知られざる裏技】

ハミガキをして、口呼吸にするだけでも、舌苔は徐々に減っていきます。

しかし、すでにたまってしまった舌苔に対しても対応をしたいですよね。

舌ブラシのように舌を傷つけず、ハブラシより簡単な方法が実はあります。

それは。。。

「重曹うがい」
です。

ガラガラうがいのイラスト(女性)

重曹うがいは、抗がん剤治療中でくちの中が荒れやすい患者さんでも使用されている安全なものです。

重曹(炭酸水素ナトリウム)は食用添加物であり、キッチンのお掃除などでもよく使われており、安価で手に入りやすいです。

2%重曹うがい液は、10g(小さじ2−3杯)の重曹を、ペットボトルに入れ、500mlの水に溶かせば作ることができます。

それで1日2−3回うがいをすればOKです。

重曹は弱アルカリ性で、粘液溶解作用があり、ネバネバがながれてスッキリします。

もし飲み込んでしまっても、胃酸で水と塩化ナトリウムと二酸化炭素に分解されるので安全です。

実際に日々の診療で用いていますが、かなりべったりついた舌苔も減っていきますし、十分なハミガキが難しい方にも舌苔を減らす効果があるのを実感します。

重曹うがいを作るのが面倒だ、という方は、「カムテクト」のような重曹系のハミガキ粉をつかうというのもアリです。

カムテクトは、重曹の塊のようなハミガキ粉です。(メーカー確認済)

【それでも舌をみがきたい!という人のために】

やっぱり舌をみがきたい!という方もおられるかもしれません。

舌を掃除する場合は、舌ブラシや柔らかめのハブラシで奥から手前へ数回ぬぐうようになでてください。

決してゴシゴシしてはいけません。傷がつくと、味覚がおかしくなったり、口臭につながります。

安全にお掃除するならば、超音波ハブラシをそっと当てるというのもよいです。

超音波歯ブラシは当てておけば、超音波振動で、舌表面の汚れを叩いて浮かしてくれます。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか?

舌苔への対応は、
・ハミガキをしっかりする
・鼻呼吸
・重曹うがい
の3点でバッチリです。

ぜひ気になる方はトライしてみてくださいませ。