ハミガキはいつすればいいのですか？

今日のお話は，
『ハミガキはいつすればいいのですか？』です．

「一日3回みがきなさい」とか，
「朝晩2回でよい」とか，
「食後のハミガキが大事」とか，
「食後すぐのハミガキは駄目だ」とか，
もういろいろ言われてよくわからないから，
今までどおり自己流でやってます！という方も多いかもしれません．

コンテンツ

ハミガキで取れるものは？

まずはハミガキの目的を考える上で，
ハミガキで一体何が取れるのか？取ろうとしているのか？
を知る必要があるでしょう．

ハミガキで取れるものは，
・食べかす
・プラーク（歯垢，細菌の塊）
この2つです．

「食べかす」は歯と歯の間にひっかかって
なければ，うがいでもとれます．

しかし，「プラーク」は，お風呂やシンクの
ぬめりのように頑固にくっついており、うがいではとれません。

こすって取る，つまり，ハミガキして取る必要があります。

なお，プラークが24時間以上たつと，石灰化
といって石のように固くなり，歯石に変化
していきます．

歯石はハミガキではとれませんので，歯科医院でとってもらいましょう．

プラークの特徴をおさえ、ハミガキ戦略を練る

プラークは，食事をするしないにかかわらず，
じわじわ増えていくものとイメージしてください．

雪だるまを作るときに，雪玉をころころしてどんどん大きくなっていくような感じ
です．

とくに，眠っている間は、プラークが増えやすくなります。
というのも、

抗菌作用のある唾液が減ったり，
口の動きが少なくなるからです。

プラークの増え方の特徴から、ハミガキのベストタイミングが見えてきます。
↓
・眠っている間にプラークは増えるので，寝る前には減らしておきたい．
・朝起きた直後は口の中でプラークが増えているので除去したい．
・プラークが24時間以上付着していると，歯石に変わり始めるからそれまでに除去したい．

以上の3点をふまえてハミガキ戦略を練ることになります．

寝る直前，起床直後の2回に完璧にハミガキできるのであれば，2回でOK．

しかしながら、
ハミガキが上手だ！と判断されるレベルの方で，1−2割残っています．
（ハミガキの目標が，PCRというプラーク付着の検査値20％以下です．）

ということで，朝・夜の2回に加え，昼食後の1回がすすめられるわけです．

「朝食前にハミガキしたら，歯磨き粉のせいで味がおかしくなります．」
「夜寝る前は，眠くてハミガキできません．」
「寝る前にハミガキしたら，歯磨き粉の味で目がさめてしまいます．」
などなど，実際的には、起床直後，就寝直前のハミガキはむずかしいよ！と言われるかもしれません。

なので，
次善策的に，
・朝食後
・夕食後
・できれば昼食後
の3回がおすすめです．

昼食後は30分はハミガキしないほうがいいって聞いたんですけど！？

昼食後のハミガキにまつわり出てくるのが，
「食後のハミガキは歯が削れやすくなるから，駄目って聞いたことあるんですけど！？」
というお話。

糖質や，酸性度の強いものを食べると，歯の表面がわずかに脱灰されます．
（脱灰（だっかい）：歯が酸で溶けること）

食べ終わると，唾液の緩衝作用により，脱灰部分は再石灰化といって，
元にもどろうとします．

これにはおよそ30分弱かかると言われています．

食べた直後にハミガキすると，歯の再石灰化が邪魔されて，溶けたままになるのでは？
歯がどんどん削れていくのでは？
食後30分はハミガキしないほうがいいのでは？と心配される理由がここにあります。

食べた直後に歯をみがいていいの？だめなの？について、
参考にしたいのはこちらの資料です。
↓
日本歯科保存学会
「食後30分はハミガキを避けること」
についての見解
http://www.hozon.or.jp/member/statement/file/opinion_20131211.pdf

要するに，
「食べたあと，ハミガキしたほうがいいよ．でも酸性の強いものを食べたあとは歯が溶けているから注意して磨いてくださいね．」ということ．

うーん，はっきりしません．．．
学会っぽい（笑）

学会の暫定ステートメントを参考に提案するならば，
「食後の酸蝕症，一時的な脱灰が気になってハミガキできない人は，食べ終わったあと，
水でうがいをして，糖質や酸性度の高い食品を洗い流して，30分くらいしてから
ハミガキする。」
ということかなと思います．

歯をいつ磨けばいいのか問題をややこしく
しているのが，この酸蝕症・脱灰の問題なのです．