55冊,56冊目,
村上春樹 騎士団長殺し 顕れるイデア編 遷ろうメタファー編


読了.
村上春樹さんの7年ぶりの長編小説です.
2月24日発売日から読み始めて,やっと読み終わったところです.
1,000ページを越える小説であったり,個人的には転居があったりで読むのに時間がかかりましたが,今回1ヶ月以上読むのにかかった理由はそれだけではありませんでした.
(※以下,ネタバレはありませんが,気にされる方は読了後にお読みください)
コンテンツ
深く読み進めるには主人公に自分を重ねる必要がある
#村上春樹 さんが主人公の名前を明らかにしなかったことを感謝したい。
そのおかげで、主人公の五感(第六感も)にぴったり重なって読むことができた。#騎士団長殺し— 大原 廣之(ひろゆき)@くちのプロ (@Hiro_Oohara) April 2, 2017
今回の主人公にはおそらく名前がありますが,最初から最後まで一度たりともその名前は出てきません.
そして,ほぼ一貫して主人公の一人称視点で描かれています.
これは,主人公の見たこと,聞いたこと,触れたこと,感じたことを読み手が自分のことのように読めるように効果的に作用します.
名前のない主人公に、いかに自分をシンクロさせて読むかで感動が左右される。
この物語はシンクロ率高めで、主人公が見た、触れた、感じた体験を、あたかも自分が体験したかのように読み進めたほうがよい。
読むのに時間がかかるが重要だ。— 大原 廣之(ひろゆき)@くちのプロ (@Hiro_Oohara) April 2, 2017
村上春樹さんらしい繊細な風景,心情描写のテキストを読みながら,主人公にできるだけ自分を重ねながら読むことで,物語に没入していきます.
ダイビングで少しずつ深度を深めていくように.
読みながら時々目を閉じたり,もう一度読み直したり.
気がつくと,びっくりするくらい時計が進んでいます.
しかし今回の「騎士団長殺し」はそうした行為というか作業を注意深くすすめる必要があります.
そうすることで物語をより楽しめるようになっているのです.
読み終わった後の余韻もまた良い
#村上春樹 さんの作品を読んだ直後は、周囲の景色が読む前よりも鮮明に見えるようになる。
不思議だけどそういう作用があるようだ。
それが「余韻」なのかもしれない。
楽しもう。#騎士団長殺し
— 大原 廣之(ひろゆき)@くちのプロ (@Hiro_Oohara) April 2, 2017
そうした主人公への重ね合わせを繰り返し続けると,感覚がとても鋭敏になってきます.
読み終わる頃には,見える世界が鮮明になって,それが気持ちのよい余韻となります.
今回の物語には本当にどっぷりとハマりました.
さいごに
いつもはビジネス書や専門書を,できるだけ短時間で効率的にスクイーズできるように読む事が多いです.
しかしながら,時に村上春樹さんの騎士団長殺しのような小説を,あえて時間をかけて読んでみるというのも良いと思います.
「五感を鋭敏に」し,「共感力を養う」点においてすごく良いです.
余韻を楽しみながら日々を頑張りましょう.
楽しかったなぁ.
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