歯の話

顔の形が変わるまで腫れてくる理由は?

病院の歯科で働いていると、ときどき顔の形が変わるまで腫れてくる方が来られます。

先日も左下あごが「こぶとり爺さん」くらいに腫れている方が来られたところです。

歯科医院に来ているのですから、そもそもは歯の病気が腫れの原因でありますが、顔が非対称になるという方はそれだけが原因ではありません。

原因となる歯の病気は、
おやしらずのまわりの歯ぐきの炎症(智歯周囲炎-ちししゅういえん)、
根の先・骨の中の病気(根尖性歯周炎-こんせんせいししゅうえん)、
歯周病などがあげられます。

それぞれ、病気が軽いときは、ほどんど痛みや違和感を感じません。

ちょっと具合が悪くなると、違和感や痛みや軽い腫れが出たりしますが、数日すれば落ち着くことも。

もう少し進むと、悪い歯の回りの歯ぐきが腫れて、ずきずきした痛みやかむと痛みを感じたりといった症状が出ます。

ほとんどは上記のような状態でありますが、ときどき、顔の形が変わるまで腫れる、ということが起こります。

なぜか?

それは、「体力低下」と「抵抗力低下」が背景にあるからです。

もちろん、歯の病気がかなり進行しているというのは前提条件であるものの、歯とくちは体の一部なので、体力や抵抗力と大いに関係あります。

慢性的な寝不足、
食生活の乱れ、
ハードなスケジュール、
コロナ疲れのようなメンタル疲労・ストレス、
これらが積み重なると、体力・抵抗力は低下します。

やっかいなのは、
「自分の体力・抵抗力が下がっていることが自覚しづらい」
ということです。

酔っぱらいが「自分は酔ってません!!!」というのと同じで、
体調が悪い人は自分の状態を把握する「自己認知力」が低下しています。

実際、顔の形が変わるくらい腫れてきて、とても顔色が悪く猫背で苦しそうに歩いて診療室に入ってきた患者さんにたずねてみても、
「体調?いやぁ、悪くないですよ。」
という方が大半。

いや、客観的に見たら、どうみても調子が悪そうです…

顔の形が変わるくらいに腫れないためにはどうすればいいかというと、歯の治療はもちろんのこと、
「自分の体の状態に耳を傾け、コンディションを整える」

睡眠・食事を整え、過密な予定にしない。

首・肩がこるようなときは疲れがたまっているので無理しない。

いつもよりやる気が出ない、作業の効率が上がらない、ミスが増えているのは疲労のサインなので積極的に休息をとる。

気分など主観的な情報に加え、予定表や睡眠時間の記録など客観的な情報を合わせてコンディショニングに役立てるのが良いです。

これからまだまだ暑い日々が続きます。

ぜひ今からでも体調を整えていきましょう!